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LEADERS BLOG

2023.9.1 / 浜永 良成

先日移動中の電車内で杖をついた海外の老夫婦旅行者とすれ違いました。
見たところお二人とも80歳ほどで歩くのも大変そうで、かつ大きなキャリーケースを引きずっていました。
その時に思ったのですが、歩くのも大変な人が飛行機やバス、電車を乗り継いでまで日本に来るのはなぜなんだろうか?
日本が好き、知合いがいるなどさまざまなわけはあるとは思うのですが、、、

そう考える(かなりの飛躍)とそもそも人類はアフリカから寒い北の方へ移動したり、溺れ死ぬかもしれないのに綱で結びつけたイカダで海を渡って遠い大陸を目指したり。

なぜ?

単純に疑問を持ち、何か答えはあるのかと「人類大移動」という本を拾い読みしました。

その本から私がそれなりに読み取った「移動」の理由とは

・気候の変化により、食べ物を求めて北へ向かったり南へ戻ったり、生きるために生息地を変える必要性があったこと。

寒いだけの印象のシベリアなどの島のまわりや海岸には大きな獲物(寒い環境の動物は大きくなる傾向がある)が捕れ、寒いために長期保管ができた。自分たちで作った衣服や竪穴住宅で寒さを凌げればそれほどひどい土地ではない。

シベリアとアラスカは氷期には海面が低下して陸続きだった。

・道具や加熱を発明したことで新しい土地でも植物を採取、人の消化能力に合わせて食べることができるように加工したり、大型動物(改良を繰り返した石器はマンモスすら)も狩ることができた。

・移動は一人では不可能だが集団で共同生活をすることで助け合うことができた。一人では生きていけないことを理解し食べ物を分け合う文化があった。

・新しい土地の最初の移住者は新たなテリトリーを発見した始祖となり、手つかずの資源(土地、食糧)を入手したいという欲望が、移動や移住の重要な要因となった。

(あくまでも私の拾い読みなのでご注意を)

当初の疑問が払拭できたわけではありませんが人類の移動の原点を電車でたまたますれ違った老夫婦のおかげで少し学ぶことができました。

2023.7.18 / 浜永 良成

ある高校のカヌー選手の話です。

濁流に流された被災経験があり、今でも川がこわい、大雨がこわい。
でも自衛隊に助けてもらったことで、人のためになりたい、そのために強くなりたいと思うようになった。
そしてカヌーをやるようになった。
(見逃したが、水の恐怖を克服するためだと思う)

シングルではなくフォア種目を選んだ、仲間がいれば水が怖くない、がんばれると。

災害から救ってくれた人への感謝、自分もあんな人になり、誰かを助けられるようになりたいという湧き上がる純粋な気持ち。

しかし被災の恐怖は拭えない。
でも自分には同じ経験をした、同じ目的を持つ仲間がいる。
だからがんばれる。

何かをしたいと気持ちはあるが一人では動く自信がない人の背中をそっと押してくれるような、励ましと救いのような話でした。

2023.6.16 / 浜永 良成

先日、自閉スペクトラム症のピアノ講師さんのNHK番組を観ました。

人前ではなかなか話せない女性が幼い頃から好きだったピアノの講師として障害を持つ方にピアノを教えている話でした。
録画時も緊張で上手く話せないと自分が書き留めた文面を読み上げていました。
生徒さんに教える姿は辿々しさはあるものの、とても暖かく誠実に接している様が伝わってきました。

苦手なことやできないことが多く、社会で生きていくのが大変、そんな人にも好きなことや少し得意なことがある。それを活かすことで苦手なことも補い、生きていく喜びを見出すことができる。

同じ辛さを持った人に手を差し伸べて、生きていく力を分かち合い、自分の生きがいもそこに見いだす。

素晴らしいなと感じると同時に、多くの人に勇気を与えてくれる生き方を見せてもらいました。

2023.5.12 / 浜永 良成

テレビで観られた方もいるかと思いますが、那覇から20キロ離れた前島という離島で一年の半分は家族と離れて一人で暮らしている85歳の男性の話です。

その島には元は島民が居たようですが、台風の大きな被害で住めなくなり皆が移住し、その男性も那覇で生活していました。

高校生のころから前島に戻りたいと思うようになり、65歳でその島を復興しようと様々な野菜などの栽培に挑戦しましたがうまくいかなかったとのこと。

飲料水や主要な食べ物は那覇から買出しているが、飲水以外は雨水、湧水を使い、電気はソーラーパネルを使って、彼なりに問題無く生活しています。

昼は海を見ながらカップ麺を食べたり、午後は毎日ジャングルような森を散歩(探検!?)、夜は晩飯の食材をのんびり釣る。

健康に長生きすることが彼の大事な価値観だと語る。
それには空気がきれいで心が洗われて、自然を感じながら生きていける前島での生活が一番だと。

老人のはつらつとした表情を見ていると、人にはいろいろな考え方があり、大切なことはそれぞれですが、自分が心から大切だと信じる生活を日々実行できることほど幸福なことはないのだと感じてしまいました。

2023.3.31 / 浜永 良成

先日児童文学家の松居直さんのテレビ番組を偶然見ました。
松居直さんは創作絵本の出版に力を注ぎ、多くの作家を育て、児童文学界に大きな影響を与えた方です。

松居直さんは幼少期にお母さんから絵本の読みきかせを体験しました。
好きなところを何度も読んでもらったそうです。

読みきかせの大切さをこのように語っています。
「文章を読んでもらい、耳から聴き、同時に絵を見ますね、絵を読みます。絵本は読んでもらうと同時にこの二つの言葉の世界を読み取れるんです。そうして子供が自分の中に物語の世界をつくるんです。ですから絵本そのものは手がかりであって、子供が自分でつくる世界が本当の絵本、それこそが絵本体験だと考えています」

「絵本は自分で読んでいますと、言葉と挿絵の間にどうしても溝ができる。時間の差ができますから、それを一つにするのはなかなか難しい、、、絵本に印刷された挿絵は静止画ですが、子供の中に見えている絵本の世界は生き生きと動いている」

このように父母や周りの人からの読みきかせを体験することで唯一無二の自分だけの物語として記憶に刻まれていく。この体験があればきっと創造力にすぐれた、あたたかい人に育っていくことができるはずだと感じました。

これからの社会からもしかすると忘れられてしまいがちな人と人の密なつながりと二つの言葉からつくられる想像世界、とても大切なことが絵本体験にはあるんだと知りました。