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2025.4.18 / 浜永 良成

漫画家の大友克洋さんと浦沢直樹さんによる、大友さんのこれまでの作品を取り上げた対談を観ました。

大友さんの漫画の超絶技巧的な緻密さ、構図の独自性、SF映画にも勝るストーリーなど、他の漫画とは異なり、学生の頃に雑誌で見た瞬間に引き込まれました。

漫画界やアニメ界に「大友克洋以前・以後」と言われるほどのイノベーションを起こし、漫画好きはもちろんのこと、世界中に大きな衝撃を与えました。

私も漫画が好きで、石ノ森章太郎著の「漫画家入門」を読んで、憧れて実際に描いてみたこともあり、大友さんもその本で漫画の基礎を学んだということが嬉しかったです。

最初は昭和のユーモアのある若者像を描いていましたが、手塚治虫、石ノ森章太郎のSF漫画に影響を受けて、自分の道はSF漫画と定め、その道を極めていくことになったそうです。

大友さんの漫画には、映画を撮る前からこれまでには無かった映画のような表現が多々あります。それを実際の映画で使うと、時として不自然さを感じることもありますが、大友さんの漫画の中ではこれこそが適切な表現と思えました。

対談の中では、大友さんの影響を大きく受けた浦沢さんだからこそ理解できる細かい部分の意味や技術の解説がありました。自分がなぜあれほど惹きつけられたのかがプロの目で解明され、その意味や技術の凄さがわかり、納得できる部分が多々ありました。その技術やシーン構成は発明でもあると感じました。

人や建物の陰影で時間や天気が表現されている。

白黒の絵なのに、シンプルな雲の表現で季節や時刻が伝わる。

余白が心理状態やシーンの緊迫感を醸しだす。

カットの多くは、創造と研究と試行錯誤を繰り返した末に生まれた独自の表現でした。

屋根裏の本棚から色褪せた大友克洋さんの漫画本を取り出して、浦沢さんが革新的な表現だと話していたところを見つけながら、じっくり読んでみたいと思いました。

と共に、大友さんは現在70歳ということですが、改めて漫画を描いてみると話しており、満を持しての今、どんな漫画が生まれるのか楽しみで仕方がありません。